パン粉のおはなし


(1)小麦粉
 良いパン粉は良いパンから生まれます。
 そのために用途と製造工程に合った小麦粉を選定し、その物性を充分に引き出すことが大切です。
 一般的に
  ① 蛋白質たんぱくしつが良くその含有量が多いもの
  ② 品質が安定しているもの
  ③ 加工耐性があるもの
  ④ 吸水量が多いもの
 などが良いものとされています。有名なのはカナダのマニトパ州の小麦であり最高のパン用粉がつくれます。
 小麦粉の成分は澱粉と糖質が多く、それに蛋白質、水分、灰分、脂肪が含まれます。特長としてグルテンを形成する蛋白質と小麦澱粉は結合し生地を滑らかにし、機械耐性のよさと相俟って重要な役割を果たします。パン製造には強力粉、準強力粉が用いられます。
 パン粉の場合は、焙煎焼式には蛋白の多いもの、電極式・高周波式(ブレダー)には比較的蛋白の低いものが主に使用され、小麦粉の他に特殊な用途として澱粉・蛋白質が利用されます。

(2)イースト
 イーストは一般に自然界にある植物の菌を培養ばいようしたもので、カビと同じ類に属する単細胞の生物です。成分は一定でないが水分が60%~80%、回形物が20%~30%です。蛋白質、グリコーゲン、脂肪、セルロース、無機質、微量の酵素とビタミンを含んでいます。生イーストとドライイースト(輸入)があります。

 酵母こうぼの働き】
 通常、パン生地きじ中に小麦粉の2~3%添加され、生地中に存在する糖分を発酵はっこうさせ、炭酸ガスを発生し、そのガス圧によって生地を膨張させます。又、この働き以外に、パン生地の熟成やパン特有の香味の付与に重要な役割を演じています。酵母のほか乳酸菌なども利用されます。

(3)食 塩
 食塩は食品製造の中でもっとも大切なポイントの一つです。特に味の点に加え、雑菌の防止に、電極式にあっては通電性に効果があります。
 製パン工程での食塩の作用は生地に弾力を持たせガス保持力を良くし、異常発酵を防ぎ、カピの発生を押さえ、生地の安定を増します。使用量は1~2%で、製法、季節等で調整します。

(4)糖 類とうるい
 糖類は生地の発酵源として必要であり、主に砂糖、ブドウ糖が使用されます。糟は焼色、揚げ色、風味等に大きな影響を持つため、パン粉の種類によって使用量を増減します。一般的に食パンへの使用量は5~6%で、パン粉の場合は1~6%程度です。

(5)油脂ゆし(ショートニンク)
 油脂にはバター、マーガリン、ラード、ショートニングがあります。一般的に製パンに用いられるのはショートニングです。ショートニングは生地に練り込む加工用に作られたものであり、成分は動植物油、綿実油、大豆油等です。
 油脂の効果は、生地の伸展性しんてんせいを良くしガスの保持力を高め、パンの容積を大きくします。パンの乾きを防ぎ老化を遅らせ、また味、香り、風味を良くし栄養価を高めます。

(6)イーストフード
 パンを製造するときイーストの栄養と生地を改良する目的で加える、食品衛生法に基づく食品添加物です。イーストフードは生地発酵の進行に応じて幅広い役割を持っていることから製パンを助ける万能選手とも言えます。
 現在使用しているイーストフードは、ビタミンC(L-アスコルビン酸)を含めた状態で、添加量は0.1%と微量です。

(7)pH調整剤ペーハーちょうせいざい
 イーストの発酵に適した範囲内でパン生地に酸あるいはその塩類を添加しpHを調整することにより、イーストの発酵を助けます。

(8)着色料ちゃくしょくりょう
 着色料には合成系ごうせいけいのものと天然系てんねんけいのものがあります。合成系のものは粉末で匂いが殆ど無く現在使用している種類は黄色4号、5号、赤色102号、106号等があります。天然系のものは、パプリカを除いて特有の匂いがあり、アナトー、パプリカ、βカロチン等が使用されます。種類と濃淡によリカラーパン粉は数十種類製造されております。

(9)その他
 用途によっては、でん粉、植物性のたんばく等を使用します。又、保湿性を得るために乳化剤にゅうかざいを使用することもあります。
 その他、香辛料こうしんりょうを合わせたハーブパン粉(香味こうみパン粉)や、イーストフードを使用しないパン粉もあります。

            


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