(1)乾燥パン粉(水分14%以下)
乾燥パン粉は焙焼式、電極式により製造し、パンを老化、粉砕、乾燥、整粒したものです。保存性、作業性が良く業務用として多く使われています。
乾燥パン粉には白パン粉、カラーパン粉、ミックスパン粉、ブレダーパン粉があります。
(2)生パン粉(水分35%~38%が標準)
生パン粉は焙焼式、電極式製法により製造したパンを規定の網目で粉砕して何ら手を加えない生の状態のものです。
生パン粉には乾燥パン粉と同様に白パン粉、カラーパン粉、ミックスパン粉があります。保存方法は、業務用では冷蔵保管のタイプが主流ですが、家庭用では、包装方法を工夫し常温保管するものも見られます。
(3)セミドライパン粉(任意の水分調製品)
セミドライパン粉は、業務用が主流であり、工場で機械的にお客様のニーズに合わせて水分調整をしたパン粉です。乾燥機を使って乾燥時の温度、熱風の送排風量、乾燥時間の調整等により作ります。食感と作業性を重視することを目的に誕生したパン粉で、生パン粉の食感により近く、また機械付け作業にも馴染みやすいといった条件を満たしたパン粉です。
使用方法、保管方法は生パン粉と同じです。
(4)カラーパン粉
カラーパン粉は焙焼式、電極式の生地を作る際に着色料を添加して焼き上げ乾燥、生、セミドライにしたものです。着色料には天然系と合成系の二通りの色素を使用しています。
天然系の例として、パプリカは色調がオレンジ系の赤みが強い赤橙色です。アナトーは色調が同じオレンジ系で黄色みが強く黄橙色、他にβカロチンなども使われます。合成系の色素は食用黄色4号、5号などが使用されます。色調は黄色が強く、一般に色が鮮やかです。
カラーパン粉の特長は揚げ色が良く退色しにくく長時間ショーケースなどに陳列しておいても揚げ色が変わり難く見栄えが良い、などの理由で使われています。天然系の色素は、退色が早く、カラーパン粉としては、合成系の色素の方が目的にかなっています。
(5)ブレターパン粉
プレダーパン粉は焙焼式や電極式製法とはまったく異なった製法(F社製法特許)で製造されています。生地をロールで帯状に伸ばし、連続してオープンと高周波で加熱、焼成、粉砕、乾燥したアメリカタイプのクラッカーパン粉です。粘着が大変良いので打ち粉や一次付けパン粉に最適です。ナゲット用粉や唐揚粉などのべ-スとしても使われています。
(6)ミックスパン粉
ミックスパン粉は主に白パンとカラーパンを任意の割合で粉砕しながらミックスしたものです。又、同色系の焙焼式と電極式パンを同じ方法でミックスした製品もあります。
(7)微粉パン粉(粒度は30~100メッシュ)
微粉パン粉は種々のパン粉を更に細かにしたパン粉です。
用途は打ち粉、増量材(香辛料、唐揚粉用)に使用されます。又、バッターミックス用が多く、製菓関係にも利用されています。
(8)香味パン粉
香味パン粉はパン粉に香辛料をミックスしたものです。香辛料としてはガーリック粉末、粉塩、ホワイトペッパー、ブラックペッパーの粉末、パセリ、バジル等、他に硬化油脂などです。
(9)生パン粉のロンプライフ化
ロングライフ生パン粉とは、特殊なバリア性の高い包材に不活性ガスを封入して作った生パン粉です。脱酸素剤やアルコール等を併用する場合もあり、普通の生パン粉は、製造から一週間程が賞味期限ですが、これを常温で60日間程度の日持をさせたものです。
(10)低吸油パン粉
パン粉製品は、フライ調理した時に、揚げ油を吸収するため、摂取カロリーを気にされる方を対象として近年、揚げ油の吸油が少ないパン粉が開発され流通しています。一般的な吸油率は、生パン粉で50~60%程、乾燥パン粉で70~80%程ですが、その値を20~30%低減させる低吸油パン粉が利用されています。
(11)その他 こだわりパン粉
パン粉製造時に小麦粉以外の原料をミックスすることにより、その原料の特性を生かしたパン粉をつくることがあります。植物繊維の多いものを入れ吸油率を調整したり、アミノ酸類や野菜(トマト、カボチャ、ニンジン等)のペーストなどを入れ、揚げ色の調整や色、香りに特色を持たせます。
最近は冷凍食品工場や惣菜工場でも大量に生パン粉を機械付けしています。
業務用パン粉は、ユーザーの使用方法、出来上がったフライ品が色々な状況で食べられますので、その使用方法に適したパン粉を提供するため、原材料の配合や製造方法の工夫で対応しています。
主原料を国産小麦粉だけ使用したパン粉やオーガニック小麦粉で製造したパン粉などもあります。
また、家庭用のパン粉でも、健康や安全を考え素材へのこだわりを持たせ、産地限定やイーストフードなどの食品添加物を使用しないものや、簡便性を考慮したチャック式パッケージへの変更など、こだわりを持った製品が発売されています。
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